学部長あいさつ

学部長

 
  「知の共同体」へのいざない
 
 今、私たちは、将来を見通すことが難しい混沌とした時代に生きています。そして、現代社会が抱える課題は多様化し複雑化しているため、解決策を見つけ出すことが容易ではありません。しかし、人間は昔から、問題が起き、課題が生じても、それらに向き合って解決の方策を考え出してきました。人間が今日まで築き上げてきた社会、そこには今に生きる私たちが参考とすべき多くの英知が蓄積されています。そして、そのような英知の集合は、長い歴史の中で、「学問」という形をとって今日まで進化し続けています。
 人文社会科学部では、日々刻々と変化する社会状況の中にあって、人文科学や社会科学の専門分野で研鑽を積む教員が、現代社会の本質を理解するため、総力を挙げて研究を進めています。そして、その成果を教育に反映するだけではなく、広く社会にも還元しています。
 今を生きる私たちに求められていることは、物事の本質を見極める確かな力を養うことではないかと思います。つまり、社会で起こる様々な出来事や社会環境の変化に対し、その背後に潜む構造や関係性を正確に把握する力を培うということです。そして、断片的な事象の理解力だけでなく、社会全体を見通す洞察力を養うことも、未来を創り出す人々には求められているはずです。
 人文社会科学部がめざすところは、学部の理念を表明した学術憲章にも記されているように、「自由な知的活動が展開される知の共同体」を構築することです。この「知の共同体」では、教職員と学生がともに自由に切磋琢磨しあって、現代社会を読み解く新たな知見を確立し、それを相互に共有化するとともに社会に発信していくことをめざしています。また、学部の求める学生像(アドミッション・ポリシー)は、「21世紀の多様な問題に、社会、言語、文化、法律、政治、経済等の分野から取り組むために必要な専門知識と能力を身につけ、国際的な視野と幅広い教養を備え、人類社会の発展に貢献する市民・社会人を育成」するとされています。私たちは、大きく変化し多様化する社会で生きていこうとしている学生の皆さんに、日々培ってきた研究成果や英知を伝えていきたいと考えています。
 静岡大学は、実に見事な自然環境の中にキャンパスが広がっています。人文社会科学部棟は、キャンパスの中でも一番高いところに位置しています。そのため、学部棟からは駿河湾を見下ろし、富士山も眺望することができます。さらに、キャンパス内には、六五〇種類にものぼる木々や植物が生い茂り、四季折々の彩の中で癒しの時を過ごすことができます。このような優れた自然環境、そして勉学環境の中で学生生活を送る皆さんには、必ずや充足感と満足感が約束されるはずです。
 私たち教職員は、このような素晴らしい環境の中で、皆さんを「知の共同体」の一員として迎えることができる日を心より楽しみにしています。