対人援助職の倫理的・法的対応力の育成

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概要:
対人援助職の倫理的・法的対応力の育成

対人援助職の倫理的・法的対応力の育成多文化共生社会における臨床実践力と実証的研究能力の向上プログラム期間においては,前期の臨床人間科学での学びをふまえ,倫理的・法的問題に遭遇した際の判断力を養う実践的な教育を重視した。学外からも専門家を招き,高齢者・認知症患者の医療介護,難病ケア,ALS患者の独居支援,多文化共生の地域づくりなどへの取り組みのなかで遭遇するモラルディレンマや,それへの対応や関連する制度などについての講義を展開した。対人援助の最前線で活躍する専門職から,対人援助の倫理と法に関わる具体的な事例と,それへの実践的な対応や政策的提言などについて学び,受講生との活発なディスカッションの中で理論的に深めることができた。とりわけ,国境という現実的な境界,死生観の差異のような価値観に基づく境界といった,様々な境界によって生まれる異文化についてさまざまな視点から講演が行なわれた。知らず知らずのうちに存在する境界,そこから生まれる異文化というものをいかに私たちが理解し,それを超えて多文化共生の道を探ることができるのか。こうした点について,実践にも結びつく認識を深めることができた。本授業でとりわけ重視したのは,対人援助のさまざまな現場で遭遇する倫理的・法的問題を含む具体的なケースの検討である。モラルディレンマを含む具体的なケースを学生がスモールグループ・ディスカッションのなかで検討し,自身の頭で考え,他者の見解とすり合せながら,問題点を分析し,対応策を見出す訓練を行った。それはさまざまな臨床現場では,多職種によるチームカンファレンスで行われていることである。具体的なケースに潜む倫理的葛藤を分析し,対応策を見出すこうした訓練は,対人援助専門職が倫理的・法的問題に習熟する上できわめて有効である。例として21年度の授業概要参照。21年度授業概要第1回10月6日第2回10月13日第3回10月20日第4回10月27日第5回11月10日第6回11月17日第7回11月24日導入――対人援助の倫理とは?『ケースブック心理臨床の倫理と法』に基づき,倫理と法,モラルディレンマへの対応について解説担当:松田純(倫理学)ケアをめぐる紛争・法・倫理ケアをめぐる紛争に関する法と倫理の関係,それに関わる社会制度について藤本亮先生(法科大学院,法社会学)ケース検討:母親へのカルテ開示と説明責任『ケースブック心理臨床の倫理と法』のケース1を題材に,母子並行面接において,母親から子供のカルテを見せてほしいと依頼された場合,心理臨床家はどうするかについてスモール・グループ・ディスカッション。討論ののち,法学者からの助言もふまえ,説明義務と守秘義務との葛藤のなかで,情報の適切なコントロールについて学ぶ松田純(倫理学),宮下修一(民法学)ケース検討:スクールカウンセリングの倫理と法『ケースブック心理臨床の倫理と法』のケース2を題材に,未成年者への支援サービスを学校で行う場合のスクールカウンセラーの義務,その職務の法的な背景と現場での実際的な対応について検討東海林佐知子(静岡県のスクールカウンセラー)ケース検討:性的虐待『ケースブック心理臨床の倫理と法』のケース3を題材に,性的虐待が疑われる事例への対応の実際について,カウンセラーが直面するであろう法的・倫理的な諸問題と児童相談所を中心とする公的機関の役割について検討猪又準圧(静岡県職員,児童養護施設勤務)職場とエイズHIV感染者への対応をめぐって,組織倫理と職業倫理の利益相反,多文化カウンセリングについて理解を深める。『ケースブック心理臨床の倫理と法』のケース4にもコメント矢永由里子(エイズ予防財団,臨床心理士)犯罪被害への支援と希死願望への対応裁判員制度と刑事裁判における被害者参加制度との関係を中心に,刑事事件における被害者支援のあり方について。『ケースブック心理臨床の倫理と法』のケース4にもコメント白井孝一(法テラス静岡副所長,NPO法人静岡犯罪被害者支援センター副理事長,弁護士)13