対人援助職の倫理的・法的対応力の育成

対人援助職の倫理的・法的対応力の育成 page 18/68

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対人援助職の倫理的・法的対応力の育成

■ケース2の想定・地方自治体の非常勤職員(発表者)から検討事例が提示された・事例検討会議開催日201X年6月・精神発達遅滞(軽度と推定される.障害者手帳未取得)21歳女性#これは発表者の憶測#中卒後,いつから仕事を始めたのかは不明いつから一人暮らしなのかも不明アルバイト等を転々としていた経緯はある20歳から常勤採用されるも続かない#4月から嘱託で採用され,5月から本事例には2回あったのみ・就労が続かず,家族のサポートも得られない#独居。家族からの経済的支援・就労に向けた支えなどはない・生活保護の申請はしていない。本人も希望していない#市内に家族が在住しているかについては情報がない・職業訓練校(特定求職者枠)での指導とミスマッチもあるのか,成果を見ていない関連法規:「職業訓練の実施等による特定求職者の就職の支援に関する法律」関連施策:「求職者支援制度」#就労支援センターによる障害者枠での支援を検討すべき事例だが,その点を発表者は理解していない関連法規:「発達障害者支援法」関連施策:「地域就労支援センター」・前任者(元非常勤職員)が退職後も継続的に個人的に支援関係はもっているらしい。ハローワークへの同伴や日常的な相談にのっているようだ・自分(発表者)も嘱託職員であり,これらは常勤スタッフを通して得られた情報である。そこで,前任者より(常勤スタッフ宛に)本事例の状況について情報提供ありとのことを知る#自分は16時に退庁するが,常勤職のスタッフに記録を閲覧してもらうために,記録簿を机上において申し送りしている。次回出勤時の朝には自分の使う机にファイルが置かれている(記録の保管方法について詳細はわからない)・こちら(発表者)とはまだ充分な関係が出来ていないので,前任者を社会資源と捉え,連携のためにも情報提供が必要と考えている・就労に向けた意欲の維持が課題と考えている。知的な遅れのある人に特有の対応の工夫やコツについてアドバイスいただきたい#知能検査や発達障害のアセスメントなどのための専門機関への紹介は発表者の頭にはない■評価評価においては,事例の理解や支援計画立案(ケースフォームレーション),事例への適切な関わり方(対応技能)には焦点を当てない。また,法的・倫理的な主題についても,対応やとらえ方の“正しさ”による評価は行わない。むしろ,多様な法的・倫理的課題の存在に気づけるか,事例討論会で採り上げるべき問題としてつかむことができているか,という観点から行った。その評価のための項目リストは評価シート(17頁)に示されている。模擬事例検討会奥が発表者役教員状況について質問する検討会出席者役(受講生)さらに,倫理的葛藤の多角的な把握,問題の広がりの理解など,課題となる問題の理解の深度や,それらの気づきや理解を検討会にて適切に発言して,適切に問題提起する力などについては,各参加者の発言や,提出されたメモの記載内容から評価した。このほか,下記の2ケースについて同様に模擬検討会を行い評価した。ケース3の想定:民間心理相談室男性相談員が,つらい体験をしたので催眠術で記憶を消してほしいと来談した23歳の女性のケースを多職種事例検討会で提起受託関係(専門家としての社会的責任),適切な治療を提供(あるいは適切な機関を紹介する)する義務,インフォームド・コンセント,多重関係などの論点を検討ケース4の想定:病院に非常勤として関わっている心理士が,肺癌末期で緩和ケア病棟に入院してきた68歳の男性患者の苦しみを,病棟内多職種カンファレンスで提起守秘義務(支援対象者のプライバシーの尊重),自己決定権,インフォームド・コンセント,保護義務などの論点を検討16