対人援助職の倫理的・法的対応力の育成

対人援助職の倫理的・法的対応力の育成 page 19/68

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概要:
対人援助職の倫理的・法的対応力の育成

対人援助職の倫理的・法的対応力の育成多文化共生社会における臨床実践力と実証的研究能力の向上■評価シート評価の観点(この2事例で想定したもの)A受託関係(専門家としての社会的責任)を理解しているかその領域における期待される専門性を有していること・適切な資源へのリファー・十分な技能と知識をもっていること等を含むB守秘義務に配慮しているか・支援対象者のプライバシーの尊重・事例検討会にケースを持ち出すことについて,クライアント自身および所属組織から了解を得ていたかC自己決定権を尊重しようとしているか・他者への情報提供や支援内容等について支援対象者の意思を尊重すること・受診や心理検査の手配・実施等について本人の意向を尊重することD保護義務について自覚しているか・支援を要する個人・家族等に不利益が生じないように保護すること(パターナリズム)BやCとの倫理的葛藤が想定される,そのようなモラルディレンマに気づくかE危機介入の必要性を検討しているか・自傷・他害の恐れのある場合の介入の必要性についての判断・虐待等の可能性がある場合の対応(情報収集・通報・組織的な対応)・非行少年の保護BやCとの倫理的葛藤が想定されるが,そのようなモラルディレンマに気づくかF関係法規・制度の知識は十分か・関連する法規等を参照して検討する必要性に気づくこと・利用可能な制度や社会的資源について検討する必要性に気づくことG無危害適切な支援を提供する義務(あるいは適切な機関を紹介する義務)十分に熟練していない手法をスパービジョンなしに行ってはならない非標準的なアプローチを用いない非標準的な技法を実験的に導入する場合,契約の前(あるいは初期)に明確に伝える(関係が出来てからだと了承への圧力が働く)(2)模擬倫理委員会における研究倫理の検討についての評価■概要模擬倫理委員会を行う学生に対しては,前週の講義において研究倫理の基礎を概説し,同時に,研究申請書,説明文書,同意書を配布し,翌週までに読んでくるように指示した。実際に研究を審査する上では,「臨床研究の倫理指針」(厚生労働省)が不可欠であることから,こちらについても事前に一通り目を通すように指示した。■研究申請書概要模擬倫理委員会において用いた研究申請書は,東京大学大学院医学系研究科生命・医療倫理人材養成ユニットによって作成されたものを用いた。概要は以下の通りである。■研究課題PTSD患者におけるMRIを用いた脳の形態学的異常の検討目的過去にベトナム戦争元兵士や幼児虐待の被害という過度なストレスによる外傷後ストレス障害(PTSD)患者においては,正常者と比べて海馬の大きさが小さいという報告がある。日本では,PTSD患者への心理的ケアの必要性が訴えられ,実際に行われているものの,PTSD患者の脳異変に関する研究は皆無である。日本人が経験した過度なストレスとしては,1996年の東海大震災が挙げられる。震災被害者のフォロー・アップは,心理的ケアが中心であったが,PTSDを治療するためには脳異変の解明が重要と考える。そこで,本研究は東海大震災によるPTSD患者を,MRIを用いて細部にまでわたって検査することで,PTSD患者の脳の病変,異変を解明することを目的とする。方法MRIを用いて脳の断面図を撮影する。所要時間は約30分程度である。対象・尾張医科大学附属病院精神科に通院する成人の東海大震災によるPTSD患者を対象とする。・PTSD患者の脳を正常な人の脳と比較するために,成人の健常者を対照群とする。・研究協力者は,当院の精神科に通院する,東海大震災によるPTSD患者約30名とする。対照群は脳疾患および精神疾患の既往のない健常者とする。・患者群の除外基準は,脳疾患に罹患しているもの(MRI検査によって判明したものを含める),他の精神障害を合併している者とする。(赤林朗総監修『生命・医療倫理学入門』,丸善.第14巻「演習(1)模擬倫理委員会:臨床研究」)手順一般的な倫理委員会の手順に従い,以下の通り模擬委員会を進めた。申請者による研究の説明質疑応答審議研究申請者役の教員による概要の説明提出された書類(計画書,説明書,同意書)にもとづき,委員が疑問点などを申請者に質問する。申請者を退室させた上で,委員会としての結論をまとめる。17