対人援助職の倫理的・法的対応力の育成

対人援助職の倫理的・法的対応力の育成 page 25/68

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対人援助職の倫理的・法的対応力の育成

対人援助職の倫理的・法的対応力の育成多文化共生社会における臨床実践力と実証的研究能力の向上一の個別的な関わりを必要とする子どもたちは,集団生活やそのルールの遵守が困難であることが多い。そのような場面で感じたことを丁寧に汲み取り,受容することで,子どもたちの心の成長を促すことができるのであろう。また,学習班の職員の方々は,学校の勉強や教室での集団生活という側面から子どもたちに関わり,教育を行っている。それだけに留まらず,普通に生活していたら経験する様々な体験が不足している子どもたちに対して,遠足や修学旅行,2分の1成人式などといった各行事での体験を重視している。これも,指導班や治療班が子どもたちの生活の基盤を支えていてくれるからこそ,できることであると思われる。このように各班は各々の役割を分担しながら,子どもたちが再び健全な社会生活に復帰することを目標に共に子どもたちと関わっている。これら各班の協働や連携への理解が深まるにつれて,次第に“総合環境療法”における“関係性で治療する”ということがわかってきたように感じた。一方で,講義や寮活動に参加する中では様々な葛藤や問題を経験した。子どもたちへの接し方や態度,暴力などの問題行動や独占的・排他的な行動に対する対処,それらに対する自身の感情のコントロールなど,生活の中で上手く対応できない自分を発見することが多々あった。また,自分は最初,“総合環境療法”という完成されたシステムがあり,情緒障害を持つ子どもたちに対して最適な治療が行われているのだと思っていたが,実際の子どもたちとの関わり方については職員であっても様々な葛藤や苦労があることがわかった。指導班が指導する際には子どもたちを受容したいと思う反面,集団生活の遂行やスケジュールの遵守,指導を優先しなければならないという葛藤を抱えていることが講義の中で語られた。また,治療班でも実際には治療だけでなく寮活動での生活指導にも関わらなければならない。両方で児童に接しているからこそ見えてくるものもあるが,そのような多重役割関係の中で面接担当外の児童との関係性や担当の児童との治療構造の維持など様々な難しさを抱えていることがわかった。さらに,近年は障害の重篤化,入所の長期化,そして入所児童の増加が進んでいる一方で,職員の数は以前と変わらず,職員の不足が問題となっている。そのように少ない職員で現場を維持するために,職員のメンタル・フィジカル両方の疲弊も進んでいるようであった。5日間という短い期間ではあったが,そのような限られた資源の中で様々な葛藤を抱えながら子どもたちと関わっている職員の方々のお話を聞き,また実際に寮活動で上記のような治療を必要とする子どもたちと関わることができ,自身の内面や子どもたちの持つ障害を見つめる良い経験になったと感じている。2鷹岡病院での学外施設実習報告(修士課程1年吉崎真奈巳)◇概要精神科病院におけるデイ・ケア活動,作業療法や,サテライトクリニックにおけるデイ・ケア活動への参加を通して,精神科医療領域における援助の実際を学んだ。また,鷹岡病院での臨床心理業務や精神科救急システムについても理解を深めた。◇日時2月21日病院内の見学,精神科救急システム・臨床心理業務の説明,事例検討2月22日作業療法(散歩・スポーツ・音楽療法)への参加(救急病棟・認知症病棟)2月23日富士メンタルクリニックでの精神科デイ・ケア活動への参加2月24日鷹岡病院精神科デイ・ケア活動への参加2月25日外来診察での陪席,事例検討,振り返り◇感想今回の実習で,初めて精神科の病院に足を踏み入れた。自殺予防のためにドアノブがなく,外側にカーテンが付けられている隔離室に驚いたが,患者さんの命を守るための配慮を感じた。一昔前までの精神科病院といえば,鉄格子があり,プライバシーへの配慮がほとんどなされていない状況であったということを聞いていたが,院内はとてもきれいで,窓も大きく開放的で,病室の引き出しの鍵は患者さん自身が管理することを許されているなど,患者さんの人権を最大限に尊重しているように思われた。2日目から4日目までは作業療法やデイ・ケア活動へ参加させて頂いた。ここでは,直接患者さんと触れ合うことができ,今まで教科書の事例を通して学ぶことしか出来なかった精神障害の症状の実際を知り,患者さんたちの不安やニーズを知ることができた。同じ診断がなされていても,個々人によって症状や症状の出方は様々で,1人1人に合ったサポートが求められる。鷹岡病院の外来診察では,比較的じっくりと医師が診察をし,そこで明らかになった患者さんの不安に関して,必要があれば即座にケースワーカーや心理士にサポート要請が行われていた。1人の患者さんに対して,多職種が介入することで,様々な視点から包括的な支援が可能になるのだと感じた。事例検討では,鬱の症状を訴える4つの事例について検討を行った。鬱の症状を示していても,その背景には統合失調症,気分障害,パーソナリティ障害など様々な原因が考えられる。医師だけでなく,心理士や看護師,ケースワーカーも含め,患者さんに関わるスタッフはアセスメントを慎重に行う必要があると実感する良い機会となった。23