対人援助職の倫理的・法的対応力の育成

対人援助職の倫理的・法的対応力の育成 page 50/68

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概要:
対人援助職の倫理的・法的対応力の育成

と幸福の促進に不可欠であり,計り知れない意義をもつことである。本シンポジウムでは,薬剤師,作業療法士,介護福祉士の教育に取り組んでいる3名のシンポジストから,各分野における倫理的・法的問題への取り組みの必要性,倫理教育の現状と課題について報告して頂き,倫理的・法的対応力をもった専門職をどう養成していったらよいのかについて討論した。古田精一「薬学倫理教育の現状と課題」薬剤師の業務が大きく変化し,薬学教育6年制となり,倫理教育の重要性が増したが,薬剤師の倫理教育のための教科書が少なく,薬系大学における倫理の専任教員が少ないという現状がある。実際に現場で遭遇するようなモラルディレンマを学生に例示し,実践的なケーススタディが重要である。青田安史「リハビリテーション医療と倫理的対応力」高齢化と在宅医療へのシフトのなかでリハビリテーション医療の重要性が高まっている。しかし,リハビリテーション専門職は倫理的・法的問題への自覚的取り組みが乏しい。養成課程では,さまざまな科目のなかに倫理教育が部分的に組み込まれているが,その内容は講師の裁量に委ねられ統一性はほとんどない。特に倫理の専門家を交えた論議の機会はほとんどない。リハビリテーションと理学療法士に特有の病院・在宅ケアにおける倫理的・法的問題について生命倫理学をふまえた「考え方の枠組み」を示し,そうした問題への対応能力を養うことが重要である。天野ゆかり「介護福祉士における倫理教育」カリキュラムでは,「人間の尊厳と自立」という科目のなかに倫理教育は位置づけられているが,介護の教育現場では,人間の尊厳があいまいに理解されており,ケースにもとづく有効な教育がなされていない。こうした現状を変えるためには,実践的なカリキュラムの作成が必要であり,介護現場で発生する特有の倫理的・法的問題についての生命倫理学的検討が急務である。松田純「生命倫理学の戦線の拡大のために」生命倫理学の実績をふまえ未開拓分野の問題に取り組む際,既存の理論や原則を新領域に「応用する」という構えではなく,具体的ケースと原則・理論との間を往復し,再吟味と修正を繰り返す「具体倫理学」(L・ジープ)の戦略がふさわしい。これは日本の生命倫理学の新しい挑戦になる。本学会員が対人援助の広大な未開拓分野に目をもっとむけ,取り組まれることを期待したい。討論では在宅ケアを中心としたリハビリテーション専門職の具体的なモラルディレンマについて論議した。討論では,これまでの専門職の常識と,現在求められている役割との溝をどのように埋めていけばよいのか,介護福祉士の専門性とは何なのか,さらに,法律がほとんど未整備の状態である領域において,どのような法整備を求めていけばよいのかといった点について,活発な議論が交わされた。4.臨床心理士会研修会における本プログラムの活動の紹介と検証(1)静岡県臨床心理士会倫理委員会主催倫理研修会平成23年11月23日に,本プログラム代表,実施担当者,実施協力者,本専攻修了生(臨床心理士)計6名が講師とシンポジストを務め,本専攻における「倫理と法」教育の実践を紹介するとともに,臨床現場における本教育プログラムの有効性を検証するシンポジウムを行った。48