対人援助職の倫理的・法的対応力の育成

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対人援助職の倫理的・法的対応力の育成

1教育改革推進プログラムの概要Ⅰ.臨床人間科学専攻の設置から本プログラム導入まで臨床人間科学専攻は,専門性,学際性,国際性,地域性を柱に,幅広い人間性と深い人間理解に裏打ちされた対人援助職の養成を目的として,平成15(2003)年に設置された。心理臨床家を養成する臨床心理学コース(日本臨床心理士資格認定協会第1種指定大学院)と,保健・医療・福祉・教育・NPOなどの分野の専門職のリカレント教育を中心とするヒューマン・ケア学コースの2コースから出発し,現在までに70余名の臨床心理士を輩出するとともに,専門職のキャリアアップの場を提供してきた。平成19(2007)年には,共生社会学コースを増設し,調査能力に優れ社会の実態や人々の思いを適切に捉えた上で共生社会実現のために活動できる人材の育成を目指し,同時に専攻全体に,調査リテラシー向上のための教育基盤を築いてきた(現在,学生定員11名,教員14名)。多文化共生社会の中でこうした取組みをさらに発展させるため,平成21(2009)年度文部科学省「組織的な大学院教育改革プログラム」に本プログラムを申請し,審査の結果,採択された。本章ではこのプロジェクトの全体像を示す。Ⅱ.プログラムの概要1.倫理的・法的対応力を身につける本専攻はとりわけ専門職として必要不可欠な倫理的・法的対応力の涵養を重視してきた。そのためにわれわれは,2つのプロジェクトを立ち上げて取り組んできた。科学研究費(基盤研究B)の補助を受けて展開した「対人援助(心理臨床・ヒューマンケア)の倫理と法,その理論と教育プログラム開発」(平成17-19(2005-07)年度)と,「薬の倫理学と薬剤師の倫理教育プログラムの構築および薬の歴史文化論的研究」(平成18-20(2006-08)年度)である。これらは本専攻のスタッフと法学,医学,薬学などの多様な分野の専門家からなる学際的な研究プロジェクトであった。研究課題に「教育プログラム」の開発や構築を明記し,単に研究だけではなく,専門職の養成教育と生涯教育に焦点を当てたものであった。その結果は,後述する2冊の教科書となって結実している。本プログラムは,上記の取り組みを基盤にして臨床人間科学専攻の大学院教育を実質的に実りあるものにして行くとともに,全国に先進的教育事例を示すことによって,対人援助の高度専門職業人教育に一つのモデルを提示することを目的としている。対人援助職の倫理的・法的対応力の向上面では,心理臨床家と薬剤師むけの教科書を提示したが,さらに多様な対人援助専門職のための同類の教育プログラムが求められている。われわれは,本プログラムのなかで「在宅」「訪問」をキーワードにした『ケースブック対人援助の倫理と法』(仮題)を編集する。従来の医療倫理学や医事法学はほとんどが病院などの施設という空間を前提にしている。病院などでは医療者などが患者の健康と安全を管理する形で対人援助を実施しているが,在宅医療と介護では,対人援助職は訪問4