心理学コースの教育

人間心理の科学的探究

 本コースで学ぶことは、心理学的探求の成果として得られた人間理解の知識というよりも、それらを得るための科学的探求の考え方と研究手法です。2年前期から研究法の学習と実習に多くの時間が割かれ、指導教員毎のゼミ指導も3年前期から行われ、研究計画書の提出、中間発表会、中間口頭試問、最終発表会(最終試験)という、卒業論文完成までの数ある関門を越えるため皆熱心に指導を受けます。研究論文(しかも英文)を読み解く演習も、大変苦労の多い、しかし充実した授業といえます。社会・臨床領域を中心に開講される講義科目は皆の幅広い関心に応えるものとなっています。さらに対人関係やコミュニケーション能力に焦点を当てた体験型の授業もあります。また、平成30年度から公認心理士要請に対応した科目も開講しました。
公認心理士(国家資格)の受験資格取得には、学部課程での必要な科目に加え、大学院課程での必要な科目の習得または指定機関における一定期間の研修が必要です。公認心理士及び臨床心理士の資格取得を目指した専門的な学習を深めたい人には、本学大学院の臨床人間科学専攻臨床心理学コースに進学する道があります。心理学コースや臨床人間科学専攻については、以下のWebサイトも参照ください:http://www.hss.shizuoka.ac.jp/shakai/psychology/index.html

Cool head and warm heart

田辺 肇 教授

(心理学)

学生の多くは研究者を目指しているわけではない。にもかかわらず卒業論文を課し、その準備として多大な労力をかけて研究法の指導を行うのはなぜか。それらを通じて身につけて欲しいいくつかのことがある。
そのひとつに、ものごとを科学的に捉え、常識や思いこみに囚われることなく、あるいは、ぱっとみで誤った印象を与えてしまうような情報に踊らされることなく、冷静に合理的な結論を導く思考力や判断力がある。心理学の研究では、思いを熱く主張するのではなく、明確な根拠に基づいて、感性ではなく明快な論理を用いて推論し、結論を導き出すことが重視される。その訓練を積むことで、合理的に秩序立ててものごとを捉える「力」が次第に身に付くことを、期待している。
一方で、私たちの生活は、ことにひととひととのかかわりあいは、明快な論理では捉えきれない複雑さや曖昧さに満ちている。平均値的な一般論では割り切れないことがある。客観的な証拠なしに決断を迫られる時がある。自らの情熱と関心に基づき研究を計画し、遂行し、突き詰めて考察したからこそ、科学的手法の限界が真に了解できるのではないか。その上で、人とかかわる心理臨床の技(art)のイロハに触れることで、割り切れない現実を切り捨てずにそれとつきあう豊かな感性と直観力、そしてひとを思いやる「姿勢」が涵養できたら、と思っている。

見えないこころのカタチを探る

山本奈津妃 さん

2012年度卒業
静岡県東部児童相談所 相談判定課 児童心理司

現在、児童相談所で児童心理司として勤務しています。刺激的な職場ですが、日々やりがいを感じています。
人のこころは見ることができません。このこころの働きを、目で見ることのできる人々の行動から予測し理解を深めようとするのが心理学といえます。これが心理学の難しさであり、魅力でもあると思います。しかし予測が当てずっぽうでは説得力がありませんから、客観的なデータに基づいて科学的に検証することが求められます。
心理学コースでは、論文指導はもちろん実験実習、心理テスト、統計処理など心理学研究のための科目があります。他の受講生と共同で作業する機会が多いため、助け合うことで仲間との絆も深まり更に楽しく受講することができます。
忙しい中でも精力的に指導をしてくださる先生方や頼りになる先輩と共に、あなたも心理学コースで心理学を学んでみませんか?