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入門書・概説書
トーマス・ネーゲル『哲学ってどんなこと?―とっても短い哲学入門―』(岡本裕一郎・若村良樹訳), 昭和堂, 1993年.
現代の代表的哲学者である著者が、専門用語も哲学者の名前も出すことなく、西洋哲学史のなかで繰り返し論じられてきた難問を分かりやすく解説している。「それじゃあネーゲル自身はこうした問題に対してどのような答えを出しているんだろう」と疑問に思ったら、同じくネーゲルの書いた『コウモリであるとはどのようなことか』、『どこでもないところからの眺め』へ進んでみては?
スティーブン・ロー『フィロソフィー・ジム 「考える脳」をつくる19の扉』(中山元訳), ランダムハウス講談社, 2003年.
イギリスで出版されている一般向け哲学雑誌Thinkの編集者である著者が、初学者向けに書いた入門書。「もしいま観ている世界がすべて偽りで、自分が水槽の中の脳だったら?」、「治療をしている歯医者に「他人の心の存在を確証できない」と言われたら」…など、突拍子もない思考実験から哲学の世界へと誘ってくれる。残念ながらすでに絶版になっているが、インターネットで古本を探したり、近くの図書館に所蔵されていないかをチェックしてみよう。
マーク・ローランズ『哲学の冒険 「マトリックス」でデカルトが解る』(石塚あおい訳, 筒井康隆監修), 集英社インターナショナル, 2004年.
映画好きの人には絶対にお勧め。「SF映画は哲学を学ぶのに最適」という信念のもと、『フランケンシュタイン』『マトリックス』『スター・ウォーズ』などの映画を取り上げながら哲学の問題を解説していく。原著の出版が2003年のため、扱われている映画は少し古いが、往年の名作を鑑賞しながら哲学を学ぶというのも一興では?なお、こちらも残念ながら絶版になっているが、近所の図書館にきっとあるはず。(静岡市の図書館にはなんと7冊もある。)
山本信『哲学の基礎』, 北樹出版, 1988年.
元々は放送大学の教科書として執筆されたもの。現代にも大きな影響を与えている主観・客観の二元論を議論の中心に据えながら、哲学の諸部門や基礎的な概念を丁寧に説明している。人間学・哲学を専門的に学ぼうと思っている人にはお勧めの入門書。
学説史
科学哲学者 柏木達彦シリーズ(ナカニシヤ出版、角川ソフィア文庫)
元々はナカニシヤ出版から出されたシリーズものだったが、その後、改訂版が角川ソフィア文庫から出版されている。(2012年現在、すべてのものが改訂出版されているわけではない。)科学哲学者である柏木達彦が、学生たちとの対話の中で、哲学のさまざまなトピックを、哲学史の流れをしっかりと踏まえながら説明してくれる。
岩崎武雄『西洋哲学史(改訂版)』, 有斐閣, 1961年.
哲学研究者の多くが「哲学史の本」ということで最初に思い浮かべる一冊。西洋哲学史全体の流れを俯瞰することができる。もちろん一冊にまとめられていることから情報量は限られているし、出版から半世紀が経ち、異なる立場・解釈も出ている。そうした点について知りたい人は、中央公論新社から最近出版された『哲学の歴史』(12巻+別巻)を紐解いてみよう。
スタッフの「この一冊」
養老孟司『いちばん大事なこと』, 集英社新書, 2004年.
解剖学者、昆虫収集家の眼から見た環境問題(松田純)。
岡本太郎『今日の芸術』, 光文社文庫, 1999(初版1954年).
ずい分前に書かれ再版されました。私が学生時代に読んで芸術への眼が開かれた本です。時代を感じさせる部分もありますが、形だけの芸術を批判しつつ、自分らしさを獲得するために自分の手で創ることが不可欠だということを力強く主張しています(上利博規)。
三木清『語られざる哲学』, 講談社学術文庫, 1977.
日本を代表する哲学者の一人である三木清が23歳のときに執筆した手記です。青臭いと思えるほど、哲学というものを正面から考えさせてくれる一篇です。わたしが大学生のときに何度も読み返した本ですが、いま手に取ると講壇哲学の徒となった自分に忸怩たる思いがします。(田中伸司)
イマヌエル・カント『道徳形而上学原論』(篠田英雄訳), 岩波文庫, 1976年.
高校の教科書において、「イギリス経験論と大陸合理論を統合した」と説明されるカントの著作です。自らのうちに生じる葛藤を人間の事実として認めながらも、そこに開き直らない自律的な人間像が示されています。大学生の頃、そうした人間像に惹かれ、学生を中心とした読書会で発表するために必死でレジュメにまとめました。(堂囿俊彦)
