静岡大学 人文社会科学部 社会学科 人間学コース 文化人類学分野のウェブサイトです
文化人類学@静岡大学Cultural Anthropology at Shizuoka University |
学生の声 Students' Voices
「旅のススメ」
「長期間海外に行きたい!」最初はそんなありがちで安易で漠然とした思いだった。2010年1月6日、大学を休学した僕は一人、大きめのザックを背負って成田空港にいた。そこに至るまで、いろいろなことがあった。とにかく、いろいろあった。
「これからどうしよう……」期待半分、不安半分。いや、正直、不安が9割8分くらいだった。何も予定は立てていない。決まっていたことといえば、手に持った航空券で、ベトナム経由で1週間のストップオーバーの後、タイまで行くということ。あと、ベトナムの最初の宿だけ。とにかく、ノープラン。手持ちの金が尽きるまで、行けるとこまで行こう。それが、最終的に僕が決めた海外へのアプローチの仕方だった。いわゆる、バックパッカーと言うやつだ。そういうとなんだかすごく格好良く聞こえるが、要は海外に遊びに行ったということだ。留学や、ボランティアや、NGOに参加して活動をしている人たちに比べれば、他人に誇れるようなことは、正直していない。それでも、こういう機会をいただいたので、僕の体験を少しだけ紹介したいと思う。
僕が訪れた国はアジア7カ国2地域。順を追うと、(日本)→ベトナム→タイ→ラオス→カンボジア→タイ→インド→中国→香港→マカオ→中国→モンゴル→中国→(日本)を約半年間かけて旅をした。すべて初めて訪れる国・地域だった。それまで一人で海外に行ったことがなかった僕にとって、旅は困難の連続だった。ベトナムではぼったくられ、ラオスでは宿で南京虫に襲われ、インドではほぼ毎日おなかを下し、中国ではカメラを盗られ……とにかく散々だった。それでも、旅に出なければ良かったと後悔したことは不思議と一度もなかった。僕がこの旅で過ごした約半年間は、それほど刺激に満ち溢れた日々の連続だった。時には言葉も通じないおばちゃん相手に値段交渉し、時には電気もないような山奥の村の川で髪を洗い、時には子山羊の首を落とす宗教儀式に参加し、時には砂漠の満天の星空の下で布団を敷いて眠った。多くの文化の違いに驚き、多くの雄大な自然に心動かされ、そして何よりも、多くの人々との出会いがあったことを忘れることはできない。
幸い大きな事故や怪我や病気もなく無事帰ってくることができた。もっとすごいことをしている人たちはいくらでもいるし、そうした人たちと比べれば、僕がしたことはたいしたことではないと思う。それでも、帰国した時、自分の力で何かを成し遂げたという達成感はハンパではなかった。
帰国してから1年以上経った現在、僕は大学4年生として卒論に取り組んでいる。テーマは「日本におけるペットの殺処分問題」。イヌやネコが私たちの身近で合法に殺されている現実を人類学的視点から調査・研究している。旅とは全く無関係だが、これはこれで興味深い。結局、何事に対しても興味のアンテナを広く持って、時には思い切って挑戦していくことが、文化人類学という学問においても、また人間としても、大切なことなのだろう。あぁ、それにしてもまた旅したいな!