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学生の声 Students' Voices

「文化人類学を知らなかった私が文人コースに入って考えたこと」

私は「祖父母の家から通えて学費が安い」「大学1年生の間に社会学、哲学・倫理学、文化人類学、歴史学、心理学の概要を知る授業を受けた上でコース(分野)を決定できる」という理由で静岡大学人文社会科学部社会学科を受験しました。入学当初、私は社会学や心理学に興味があり、文化人類学のことはほとんど知りませんでしたが、文化人類学コース(以下、文人コース)で学ぶことができてとても良かったと思っています。

自分が考える文人コースの良さを、4つにまとめました。興味のある項目を見ていただけると嬉しいです。

①文化人類学特有の姿勢
文化人類学は、自分にとって「当たり前」なことを疑ってみる学問です。
例えば、日本国籍を持っている人は自分のことを「日本人」という「民族」だと自覚していると思います。私は、「民族」は揺らぐことのない絶対的なアイデンティティだと考えていました。しかし、文化人類学の授業で、先生から誰に自分の出自を伝えたいのかによって出自の表現を(相手が海外出身の方なら「日本人」、静岡県外出身の方なら「静岡出身」、静岡県の方なら「〇〇市出身」と)変えることを考えると、「民族」は絶対的なアイデンティティだとは言い切れないんじゃないの?と問われて衝撃をうけました。
自分にとっての「当たり前」が揺らぐ感覚を楽しめる人にはうってつけの学問だと思います。私も、「文人コースでもっとそういう経験をしたい!」と思い、文人コースに進むことを決めました。

②フィールドワークと報告書・卒業論文
文化人類学コースでは、3年次、4年次にそれぞれフィールドワークを行います。どちらも自分で興味のあるテーマを見つけ、執筆を進めます。
例年、3年次のフィールドワークでは学生と先生が静岡県内のまちに4泊5日し、調査結果を報告書にまとめます。しかし、私たちの学年は新型コロナウイルスの感染拡大の影響でフィールドワークが中止になりました。代わりにコロナ禍を生きる私たちをテーマに報告書を執筆することになり、私たちはコロナ禍の今だからこそできるテーマ(自分の家族、趣味、地元付近のお店、オンライン授業など)で各自フィールドワークを行い、報告書を執筆しました。
私は先輩方から「4泊5日のフィールドワークは本当に楽しい!」という話をよく聞いていたので、後輩の皆さんには是非そのようなフィールドワークを経験してほしいなと思っています。

4年次の卒業論文執筆では、テーマ設定やフィールドワーク先とのやり取り、スケジュール管理などを自分自身で行います。私は当初、地元のお祭りか、静岡市内にある高等学校の応援団をテーマにしようと思っていました。しかし、コロナの影響でテーマ変更を余儀なくされました。テーマを変えた後も、どのように論を進めるべきか、どのような文献を参考にするか、そして自分が本当に明らかにしたいことは何かなど、いくつも考えるべきことが出てきました。卒業論文を通じて、今までの自分が知識や情報を受け取ってばかりで、自分一人で何かを作り出すのが苦手だったことに気づかされました。
報告書は1万字、卒業論文は2万4000字程度で書くことになります。最初は「そんなに書けるのかな?!」と思っていました。しかし、書いてみるとこれが意外と楽しくて、あっという間に字数が埋まってしまう人が多いと思います。調査対象者や友人、先生方の協力を頂きながらこれだけの字数の文章を書くのはとても貴重な経験です。私は就職活動で、このような経験を自己PRに使っていました。

③議論形式の授業
文化人類学分野の授業には、先生が用意してくださった書籍や映画、論文などをもとに議論を行う形式の授業もあります。先生が用意してくださった素材にしっかり目を通すことはもちろん、必要に応じて他の参考文献を読んだり、ネットで関連情報を探したりすることもあるため、いわゆる講義型の授業よりも授業前の準備が大変です。しかし、議論の際に他の人の考え方を聞き、他の人から自分の意見について指摘をもらうことで、自分にはない考え方を知ることができます。さらに、自分で話したことや調べたこと、聞き取ったことは記憶に残りやすく、「ちゃんと勉強したな!」という気分になることができました。 また、議論というとお堅い印象を受けるかもしれませんが、私は議論形式の授業の時間は、文化人類学のトピックで友人や先生方とおしゃべりができる時間という感覚でした。私の在学中はコロナの影響で人と話す機会が少なかったので、授業で他の人としっかり話すのが良い息抜きになりました。

④同コースの友人や先生方との距離感
文人コースは、友人(同級生、先輩、後輩)や先生方に相談しやすい環境が整っていると思います。 同級生とは3年次に行う4泊5日のフィールドワークで文字通り「同じ釜の飯を食う」ことになり、とても親密な関係を築くことができます(私たちの学年はコロナの影響でフィールドワークが中止になったため、同じ窯の飯を食う代わりにLINEなどで頻繁に相談や雑談をしました)。
先輩・後輩とは、二学年合同での授業で親睦を深めることができます。私は先輩に授業に関することはもちろん、就職活動や卒業論文のテーマ設定などに至るまで相談させていただきました。先生方は、学生の相談にしっかり乗ってくれます。授業前後の時間や、事前にアポイントを取って「オフィスアワー(先生が研究室で待機し、学生からの質問や相談を受けてくださる時間)」に、報告書や卒業論文について相談をさせていただきました。
また、文人コースに所属する学生は実習室という書物庫兼給湯室のような部屋を利用できます。そこで居合わせた友人や先生方と雑談をするのもとても楽しかったです。

私は上記のような魅力のある文人コースで学んだことで、自分で考えて行動する力や、予想外のことが起こってもそれを受け止め、楽しむ力が身についたと思います。この文章が、皆様の進路決定及びコース(分野)選択の一助になれば幸いです。

(鈴木 明日香・2018年入学)