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学生の声 Students' Voices

「私のフィールドワーク体験談」

 ここでは、私が文化人類学専攻した理由とフィールドワークの体験談を紹介します。

 私が文化人類学を選んだ理由は、フィールドワークに興味を持ったからです。1年次に受講したフィールドワーク基礎演習では、静岡市清水区でこども食堂を運営している方にインタビューを行い、こども食堂を始めたきっかけやライフストーリーについて話を聞きました。実際にこども食堂を訪れて話を聞くと、ホームページやネットの記事を読んだだけでは伝わらないその場の空気感と、その方の口から直接語られるリアルな情報に触れることができました。この経験から、自分の身で体験することの大切さや、他者の価値観や考え方、ライフストーリーといった一人ひとりの暮らしや営みに目を向け深掘りすることの面白さを感じ、文化人類学分野に進むことに決めました。

 続いては、文化人類学分野で経験したフィールドワークの体験談を紹介します。3年次には、静岡市駿河区久能地区にて5日間のフィールドワーク実習を行いました。私は、高齢者が多い久能で唯一存在していた老人会について調査しました。慣れないインタビューに最初はとても苦労しました。というのも、私は最初、自分が設定した調査テーマに沿った話ばかり聞き出そうと質問攻めを繰り返してしまい、なかなか話が膨らんでいかないことに悩んでいました。そのとき、「何気ない会話のなかにもヒントがあるかも」「雑談にも耳を傾けた方が良い」という先輩方のアドバイスを思い出しました。そこで次の日からは、自分が知りたいことやテーマにこだわりすぎず、対象者の方に自由に語ってもらったり雑談も楽しんだりして会話を心がけてみると、話があらゆる方向に広がっていきました。結局、テーマにこだわっていたら聞けなかっただろうなという話に面白さを見出し、最初に設定していたテーマとは違う方向性で報告書を執筆しました。

 この経験から感じたフィールドワークの面白さは、最初に設定した調査テーマの答えに必ずしもたどり着かないところ、またたどり着かなくても良いところだと思います。インタビューで色々な話を聞いていると、新しい発見があったり実習前に面白いと感じていたものとは違うところに興味が湧いたりして、当初のテーマとは少し違う切り口で調査を進めました。また、テーマにこだわっていたインタビューでは、質問に沿う話しか聞き出せないことが多かったのですが、テーマに縛られすぎず幅広く話を聞こうとしたときは、対象者の方たちも自由に語ることができ、「わざわざ話すほどのことでもないんだけど」と言いながらも色々な話を聞かせてくれました。対象者の方たちにとってはささいなこと、他愛のない日常の話だったかもしれませんが、私にとっては新鮮で、またテーマや質問にとらわれていない会話のなかで聞けた話でもありました。このように、フィールドワークでは、テーマの答えを求めようとするだけではなく、“思っていたのと違う”発見や気づきを大切にしてみることも面白いと思います。文化人類学の調査には答えや正解はないと思うので、自分が面白いと思ったポイントを探りながら調査を進めることは新鮮で楽しかったです。

 最後に、印象に残っている文化人類学分野の先生方の言葉を紹介します。

 「“制服におけるジェンダー問題”みたいなテーマで研究するのが社会学、“制服という縛りがあるなかで、JKたちはいかにしておしゃれを楽しむのか”に注目するのが文化人類学」

 これは、“学校の制服”を研究テーマにした場合における、社会学と文化人類学それぞれのアプローチの仕方について例を交えながら説明してくださったときの言葉です。これを聞いたとき、私がやりたかったのはこれだ!と思いました。これを読んで、JKの制服でのおしゃれの楽しみ方に興味を持った方は、文化人類学分野を選んでみてください!

 P.S. このジグゾーパズルは、私がフィールドワーク実習でインタビューした方からいただいたもので、同期の皆で完成させたものです。文化人類学分野の実習室に、私たちが在籍していた証としてこの先も飾り続けていてくれたら嬉しく思います。

(山口 ほなみ・2021年入学)