院生の学び<臨床>

【院生の1週間:臨床心理学コース1年生の前期履修例】
月曜日 火曜日 水曜日 木曜日 金曜日
1・2限 TA TA
3・4限 臨床心理査定演習Ⅰ(心理的アセスメントに関する理論と実践) 臨床心理基礎実習Ⅰ[ケースカンファレンス・インテークカンファレンス] 臨床心理面接特論Ⅰ(心理支援に関する理論と実践)
5・6限 臨床心理学外実習Ⅰ(心理実践実習Ⅰ) 臨床心理学講読演習Ⅰ プレイセラピー演習等(相談室にて演習・実習) 臨床心理学特論Ⅰ
7・8限 精神保健福祉特論(福祉分野に関する理論と支援の展開)[隔年開講]
9・10限 臨床社会心理学演習Ⅰ
11・12限 臨床人間科学 臨床心理学研究法Ⅰ[ゼミ]

*M1後期は、前期よりも授業時間が減ります(月曜が全休になる人も多かったです)。
*TA(ティーチングアシスタント[学部生対象の授業の指導補助])を担当する人もいます。経済的な補助のみならず、後進の指導経験は貴重な学びの機会となります。
*ゼミ[研究指導演習]は、複数の学年の学生が一同に会して討論する型式が多く、時間割外の指導がある場合も多いです。
*査定演習の授業では、被検者の協力を募って検査の実施や所見書の作成を実際に行います。
*M1後期から授業時間外に電話当番やインテーク面接の陪席などの相談室業務を担当する実習が始まります。M2からは相談室のケースをいくつか担当します。
*土日いずれかは心理臨床系のアルバイト等を半日程度する人が多いです。課題などに割く時間を多めに確保しておく必要があるため、事情がある場合を除き、平日と土日両方にアルバイトを入れるのはお勧めしません。
*体調管理やセルフケアも重要になってきます。多忙な日々を過ごすことになりますが, 非常に充実した学びが得られます。適度に息抜きをしつつ、仲間と助け合って課題や実習に取り組んでいます。

【2年間の過ごし方:臨床心理学コースの例】
1年前期 授業の予習・課題に多くの時間を割きました。その合間を縫って、7月に開催される専攻の構想発表会(研究したいテーマについて発表する・この結果をうけて副指導教員が決まることが多い)に向けて、修士論文のテーマや実施方法の検討などを進めます。
1年夏休み 「グループアプローチ演習」の他、非常勤の先生が担当する集中講義が複数あり(6科目程度・多くは隔年開講)、学外での短期実習もあります。同時に、夏休み明けのコースの構想発表会(より具体的な計画について発表する)に向けて準備を進めます。
1年後期 授業と並行して、相談室での実習(電話当番、インテーク面接の陪席等)が始まります。また、学部生向けの授業のTAを担当する人もいます。質的・量的の研究法の授業を履修して、修士論文の参考にする人も多いです。
1年春休み 学外での短期実習が複数ありました(実施時期は年度により異なります)。相談室のケース担当を引き継ぐ準備を進めます(3月には担当を開始します)。修士論文の準備や実施に割く時間をつくるのが大事です。5月初旬ごろ開催の中間発表会(研究方法を中心に検討する)に向けて準備を進めます。多くの場合、人を対象とする研究の倫理審査を受ける準備もします。
2年前期 就職の希望先によっては、6・7月に実施される公務員試験の対策を進める必要があります。週1日、10~15週ほどの学外施設での長期実習が始まります。実習とゼミ以外に授業はほとんどなく(隔年開講科目1科目と研究法の科目があるくらい)、相談室業務(ケース担当、ケースの陪席、スーパービジョンを受けるなど)が生活の中心になります。アンケート調査やインタビューや実験など、修士論文のデータを取り始める人もいます。
2年夏休み 相談室業務と集中講義(4科目程度)があります。修士論文のデータの収集・分析を進め、11月の中間口頭試問(分析結果を中心に検討する)と題目提出に備えます。
2年後期 相談室のケースをM1に引き継ぐ準備を進めると共に、3月初旬の公認心理師試験対策を始めます。同時に、修士論文を1月20日までの提出に向けて仕上げていく必要があります。就職活動も、公務員以外はこの時期に進める人が多いです(心理臨床系の就活は、学部生とは少しペースが異なります)。修士論文の最終発表会(公開口頭試問)は2月初旬に行われます。
【学外施設実習】 

学内施設であるこころの相談室の他、医療施設、福祉施設を中心に、多くの実習先と提携しています。修了までに、短期実習、長期実習(10週間)併せて5箇所の学外施設で実習を行います。

1 保健医療 浜松医科大学附属病院
2 保健医療 好生会三方原病院
3 保健医療 沼津中央病院
4 保健医療 鷹岡病院
5 保健医療 聖隷三方原病院
6 保健医療 遠州病院
7 保健医療 県立こころの医療センター
8 保健医療 県立こども病院
9 保健医療/福祉 静岡市こころの健康センター
10 福祉 児童養護施設春風寮(児童家庭支援センターはるかぜ)
11 福祉 静岡県立吉原林間学園
12 福祉 こども発達サポートセンターここもど
13 福祉 静岡県精神保健福祉会連合会静岡支援センター「みらい」
14 教育 NPO法人臨床心理オフィスBeサポート
15 司法 初等・中等少年院駿府学園
16 その他 静岡大学こころの相談室

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*授業料とは別に、学外実習にかかる費用が必要となります。

【総合講義「対人援助の倫理と法」】 

専門の必修科目である総合講義「対人援助の倫理と法」は、臨床心理士をはじめとする対人援助専門職者の育成ならびに再教育を中心的な目的とする臨床人間科学専攻において、対人援助実践における倫理的・法的な問題についての見識や実践的な対応力を高める教育プログラムが必要であるという認識のもと、平成16年度より準備を始め、科学研究費「対人援助の倫理と法、その理論と教育プログラム開発」(平成17-19年度)の採択により本格的に展開した講義である。学内外の専門家を招聘することで、最新の知見と実務家による具体的な経験について情報を得る機会となっている。同時に、具体的な事例を元に学生同士がディスカッションを行うワークショップ型の教育を展開してきた。平成21年から3年間支援を受けた大学院教育改革プログラムを通じて、充実したコンテンツを提供できる環境が整っている。
学期末には、実際に倫理的・法的問題へ対応力が身に付いたかを検証するため、事例(例:家庭児童相談担当者から,怠学傾向があり授業時間に商店街を徘徊している中学3年生男子への対応について検討を依頼された場合など)についてグループで模擬検討会を行い、評価シートに基づいて、多様な法的・倫理的課題の存在に気づけるかなどの観点から評価をしている。また研究倫理をテーマとした模擬倫理委員会を実施し、チェックシートに基づいて評価することも行っている。

■検討事例

  • そう状態で逮捕されたクライアントへの対応
  • 覚醒剤使用の疑いがあるクライアントとの関係
  • リハビリテーションの倫理
  • 多重関係:クライエントとの恋愛関係,友人からの援助依頼をめぐって
  • 虐待の通報:小学生のあざ,中学生性的虐待
  • センシティヴ情報の扱い:産業カウンセラーのディレンマ
  • カルテ開示・説明責任~スクールカウンセラーと守秘義務
  • 終末期患者の援助:尊厳死を希望する患者への対応
  • 犯罪被害者への支援と希死願望への対応
  • 生殖をめぐる葛藤:羊水検査を受けるかどうか
  • 研究倫理(模擬倫理委員会):MRIを用いた研究の検討

■講演会

  • 作田和代先生(静岡県立こども病院)「チャイルド・ライフ・スペシャリストが行う心理社会的支援」
  • 松田純先生(静岡大学大学院人文社会科学研究科特任教授)「世界はどう変わるか~AI(人工知能)、医療におけるビッグデータ、IoT(モノのインターネット)~」
  • 柑本美和先生(東海大学大学院実務法学研究科准教授)「心神喪失者等医療観察法―成立の背景・手続・処遇―」
  • 甲斐克則先生(早稲田大学法科大学院教授)「治療中止の法的問題~日本と諸外国の比較~」
  • 塩原良和先生(慶応義塾大学法学部教授)「福祉多文化主義からネオリベラル多文化主義へ~オーストラリアの事例を中心に~」
  • 高橋隆雄先生(熊本大学大学院社会文化科学研究科教授)「患者から患者様へ~人間・自然・神~」
  • 川口有美子先生(有限会社ケアサポートモモ代表取締役)「「逝かない身体」を生きるために~ALS患者の独居支援~」
  • 島津製作所 近赤外光脳機能イメージング装置FOIRE-3000公開デモンストレーション「脳の活動を目でみる~近赤外光脳機能イメージング装置の実際~」
  • 西岡正次先生(豊中市市民協働部理事・くらしセンター長・豊中市パーソナル・サポートセンター所長)「パーソナル・サポートサービス~対人援助の新しい形~」
  • 早川秀樹先生/グェン・ファン・ティ・ホアン・ハー先生(多文化まちづくり工房)「多文化共生の地域づくりと市民活動の役割:多文化コミュニティにおける対人援助」
  • 横井秀治先生「自立と共生―ダウン症の我が子が選んだドイツのグループホーム」
  • 加藤丈太郎氏(特定非営利活動法人A.P.F.S.代表理事)「持続可能な外国人相談実践のために-自身の相談員経験と東京都内実態調査の経験から」
  • 島薗進先生(東京大学大学院人文社会系研究科教授)「終末期医療と死生観」
  • 菱山豊氏(文部科学省研究振興局振興企画課長)「科学技術研究の推進と生命倫理―iPS細胞研究支援の経験から―」
【充実した指導体制】

多様な学問領域を含むコース構成という特性を生かし、柔軟な研究指導を実施している。学生は、所属するコースとは別のコース教員を「研究指導教員」として選択することが可能であり、また研究主題にあわせて「副研究指導教員」を持つことができるなど、本専攻では設置以来一貫して集団教育体制(専攻全体で大学院生を育てる)を貫いてきた。

【研究環境】
  • 本専攻の院生用の研究室がありWifi接続環境や、プリンタ、パソコン、コピー複合機(スキャナ機能付き)などが備えられています。リラックスできるソファ、冷蔵庫や電子レンジ、電機ケトルもあります。また、専門文献も棚に所蔵されています。
  • 研究については、指導教員、副指導教員がつき、多様な視点で助言を受けることができます。量的研究、質的研究の授業がM1後期もしくはM2前期に開講されるため、個人の研究内容に合わせて履修することでより学びを深められると思います。
  • 相談室や学外施設での実習では、専任教員の他に、非常勤相談指導員(2名)や実習指導補助員の先生方による充実した指導が受けられます。
【修了生の声】

私の大学院生活は授業に実習に研究にと非常に濃密でした。大学院の授業で作成した資料やメモは、今でも勉強のために見返すことが多いです。同じ授業を受けていてもその進路は多様で、同期には医療機関へ就職した人や、国家公務員になった人、進学した人もいます。現職の人は、その経験を研究に、そして大学院での学びを仕事に活かしています。私は、支援が届きにくい人を支援したいと考えていましたので、公務員になればそのような人の支援が可能になると思い、今は静岡市に心理職として勤めています。大学院生活は苦しい時も多いですが、それを乗り越えるコツは同期と助け合い、先輩や先生を頼ることです。同期や先輩、先生は就職後も頼りになる存在です。上手に人に頼りながら、頑張ってください。

臨床人間科学専攻2019年度修了 赤堀梓さん

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